2013年5月21日火曜日

100円家事代行の想い出   ~血まみれの祝杯~

 今までのサービス提供の中で1番命にかかわる案件は交通事故に関する出来事でした。


団地の縁側ができる前のこと、夕方お店で事務処理をしていると3,40代の女性がノックもせずにお店に飛び込んできました。

「す、すいません! すぐきてください! 大変なんです。事故 事故ー 」

と言いながらドアを開けたまま女性は外に駆け出していきました。


意味もわからず女性の後を走って追いかけると道路に人だかりがあり、中央に初老の男性が血を流し倒れていました。

お店にこられた女性の方は車のドライバーだったようです。

女性「停車してドアをあけたら自転車の男性がぶつかって投げ出されて道路に叩きつけられたんです。どうしていいかわかりません。たすけてください」

私は事態を理解し、まわりの人だかりに声をかけました。
「救急車か警察を呼んだ方はいらっしゃいますか?」

・・・  反応はありませんでした。

急いで110番119番通報をしました。
また初老の老人に声をかけるとハッキリ意識がありました。

「ドアにぶつかって転んじまった。頭はしっかりしてるんだけど、身体がいう事きかん」
みると下半身は血が流れていました。


吐き気がないのを確認し、道路の脇へ初老の男性を人だかりの方達に声をかけ移動しました。
人だかりは気づくと20人ほどになっていました。

「交通事故みたいよ」
「車と自転車の接触よ」
「運転手は誰?」
「あの前掛けの人じゃない?」

・・・(涙) 携帯を握りしめ、真ん中に立っていっる私が加害者として噂になっていました(笑)
初老の男性と会話をしていると救急車・警察が到着し、無事病院へと男性は搬送されました。

警察にも事情を説明し、無事事態は収束したかと思いました。


夜1本の連絡がありました。
「道路であった俺だよ。名刺もらったんで電話しちゃったよ。」
「明日から入院で精密検査を受ける事になったんだけど、一人暮らしで入院の準備ができないんだ。松葉づえも車いすも借りたんだけど使ったことなくってさ。御用聞きしてくれよ。」

考えた結果私はお客様のご自宅へ伺いました。
入院の準備は結局翌日の早朝に2名体制で行う事になりましたが、興奮がおさまらないと
20時頃から22時過ぎまで男性と昔話をしあいました。


「風呂はもうあきらめた。まー兄ちゃんこれも縁だ。乾杯しようや」
と男性は血でよごれたズボンを気にせず私の冷蔵庫を指さしました。

「実家青森の特製ジュースだ。美味いぞー。今日の出会いに乾杯!」
と乾杯し、特製ジュースの杯を重ねました。


お客様は半年ほどですっかり回復され今でも挨拶を交わす中となっています。
あの日の晩は何か緊急の電話があるんじゃないかと一睡もできませんでした。

今では貴重な経験となっています。

【1つの地域に1人の御用聞き】そんな時代を目指して頑張ろうと思います。



御用聞きのreboot   ~会話で世の中を豊かにする~